Nikon D6+旧広角ズーム(左)、Nikon Z9+NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 S(右)(筆者撮影)
発売当初神レンズと言われていた先代AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDからNIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sになり描写はどう変わるのか?使い勝手や性能はどうなのか、実際に2本を比較しながらレビューを行う。
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S入りの段ボール箱
段ボール箱のを開けると、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 S化粧箱の他、納品書が入っていた。NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 S化粧箱は、Nikon Zシリーズおなじみの黒と黄色の箱だ。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sを開梱、UNBOX。レンズ本体の他、純正フード×2種類、保証書、説明書、レンズ袋などが入っている。
梱包箱の中には次の品が含まれていた。
上記の通り、レンズキャップ×2種類、フード×2種類が入っていることがNIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sの特徴だ。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sには、小さいフードと大きいフードの、2種類のフードが付属する。および、各フード用のレンズキャップも2種類付属する。
それぞれの使い方は次の通りだ。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 S(写真右)(筆者撮影)
「レンズキャップ LC-Z1424(スプリング式)」はレンズの先端部分の凹凸にちょうどはまる形のレンズキャップである。フードを使用しない場合も直接レンズに装着することができる。
「バヨネットフード HB-96」は小さいフードである。「レンズキャップ LC-Z1424(スプリング式)」を付けた状態で取り付け、取り外しでき、使用しない時は、逆向き(写真右)に装着できる。
上記右写真は、先代の(Fマウント用の)AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(固定式フード+かぶせ式キャップ)である。
先代のAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDはかぶせるだけのキャップだったのでカメラバッグの中で、キャップが外れてしまうことがあったがNIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sはスプリング式キャップになったのでカメラバッグの中で不用意にキャップが外れることは無く使い勝手が良くなった。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sには、大きいフードと大きいレンズキャップも標準で付属している。
「バヨネットフード HB-97」が(かなり)大きいフードである。
大きいフードには、112mm系の市販レンズフィルターを付けることができる。
「かぶせ式レンズキャップ LC-K104」が上記フード用の大きなレンズキャップであり、フードにかぶせて使用する。「かぶせ式レンズキャップ LC-K104」もスプリング式のロック機構が付いており、大きなフードにかちっとはめて使う。
小さいフード、小さいキャップを使う際は、レンズ保護フィルターを装着することができない。
先代の(Fマウントの)AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDも保護フィルター無しに使用していたので、今回購入したNIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sも筆者は保護フィルターなしに小さいフード+小さいキャップを使用して持ち運んでいる。
先代と比較するとレンズが小さくなりカメラバッグの中での収まりも良い。
CPL(円偏光)フィルターなどのフィルターを使う際には大きいフードを使えば良いと思うが、今現在、112mmの円偏光フィルターを筆者も所有していないので、当面は小さいフードと小さいキャップで運用するつもりだ。
CPL(円偏光)フィルターを使用することにより、風景撮影時に水面の反射を抑えたり、建築写真撮影時にガラスへの写り込みを抑えて撮影できたりするが、これらのような特殊な撮影を行い場合はCPL(円偏光)フィルターを購入する必要も無いだろう。
ニコン純正のCPL(円偏光フィルター)は希望小売価格86,790円(税込)と非常に高額であるが、サードパーティー製品なら22,000円(税込)程度の低価格でCPLフィルターを購入することも可能だ。
新旧2本のNIKON 大三元 広角ズームレンズ(筆者撮影)
2008年当時、発売されたばかりのAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを入手して10年以上使い続けてきた。
同じ大三元レンズである標準ズーム f/2.8、望遠ズーム f/2.8はリニューアルされたが、14-24mm f/2.8のFマウントレンズは現在までリニューアルされることなく現行製品として販売されて続けている。
新旧2本のNIKON 大三元 広角ズームレンズ、FTZマウントアダプターを付けた状態(筆者撮影)
Nikon Z9やNikon Z6iiなどのZマウントミラーレスカメラでFマウントレンズを使用するにはFTZマウントアダプター、またはFTZ2マウントアダプターが必要になる。 AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(左)にFTZ2マウントアダプターを付けた状態で大きさ比較すると上記の通りである。
そして、大きさよりもその重さの違いに驚いた
項目 | Gレンズ | Zレンズ |
---|---|---|
寸法(長さはバヨネットマウント基準面からレンズ先端まで) | 約98mm(最大径)× 131.5mm | 約88.5mm(最大径)×124.5mm |
質量 | 約970g | 約650g |
フィルター枠サイズ | 取り付け不可 | 112mm |
上記の通り、重さは970g ⇒ 650gへと33%も減量した。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sを持った瞬間「うゎっ、軽っ!」と思ってしまうほどに軽い。
項目 | Gレンズ | Zレンズ |
---|---|---|
フード | 固定式 | 着脱式(2種類が付属) |
レンズキャップ | かぶせ式 | スプリング式 |
フィルター使用 | × | ○ |
距離指標 | ○ | △(レンズ情報パネルに表示可能) |
L-Fnボタン | × | ○ |
コントロールリング | × | ○ |
Zレンズには2種類のフードが付属する。1つは小型軽量タイプでフィルター装着できないタイプ(普段はこちらのフードを付けて使用する)。もう1つは大型タイプで112mmのフィルターを装着できるタイプである。
Gレンズは前玉にフィルターを装着できなかったが、Zレンズは112mm径の円偏光フィルターなどを装着して使用できる。なお、Zレンズはマウント側にもフィルター枠が付いており、市販のシートタイプのフィルターを装着することができる。
Gレンズのレンズキャップはかぶせ式だったので、カメラバッグへのレンズの入れ方によっては移動中にキャップが外れてしまうことがあったが、Zレンズはスプリング式のレンズキャップになったのでカメラバッグの中で不用意にキャップが外れる心配は無い(便利になった)。
ZレンズのL-Fnボタンにはカメラにより可能を割り当てることができる。
筆者は、「拡大表示」機能を割り当てて、必要に応じてフォーカス位置を拡大し精密なマニュアルフォーカス合わせを行うために使っている。
筆者は、撮影中に不用意にコントロールリングに手が触れて何かの起動が作動してしまわないように、通常はコントロールリング機能をOFFにして使っている。
例えば、コントロールリングに絞り変更機能を割り当てると知らない間に指が触れて、絞り値が変わってしまうことがあった。
また、レンズによっては、コントロールリングにフォーカスリング機能を割り当てて使用している。
筆者は不動産の内観・外観などを撮影する建築写真撮影ではマニュアルフォーカスで撮影を行う。
(旧製品)AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDやPC NIKKOR 19mm f/4E ED(ティルト・シフトレンズ)を使用する際は、レンズに距離指標が付いていたので距離指標と被写界深度を確認しながらマニュアルフォーカス撮影を行っていたが、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sにはレンズのフォーカスリングに距離指標が付いておらず、情報ディスプレイを表示させて距離を確認する必要がある。
カメラを三脚の高い位置に置いて撮影したりする時など、ディスプレイ表示では距離指標が確認しづらく、Gレンズ、Eレンズと比較すると若干使い勝手が悪くなったと感じている。
マニュアルフォーカスで撮影する際にNikon Z9の背面液晶に、フォーカス位置の目安が表示されるがそこに距離指標(メモリ)表示は無い。背面液晶に距離指標(メモリ)表示があると撮影が随分便利になるのにと思い、一応ニコンサポートへ要望を送ってみた。さて、機能追加対応されるかどうか期待しないで待っている。
Gレンズ、Eレンズはフォーカスリングが機械式だったので、カメラの電源をOFF/ONしてもフォーカス位置は変化しなかったが、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sはカメラの電源を入れた際にフォーカスが無限遠位置になることが分かった。
Gレンズ、Eレンズではマニュアルフォーカス撮影を行っていたので、建物の外観を撮影する際にカメラの電源を入れてすぐに撮影すると、直前に室内撮影を行った状態、またはフォーカスリングを不用意に回していた場合にフォーカスが(無限遠でないので)合わずにまれに、あれっと思うことがあったが、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sはカメラの電源を入れた直後にフォーカス位置が無限遠になるのでそのようなミスは無くなった。
しかし、室内撮影やトイレ・洗面所・バスルームなど近い場所を撮影する際に一度カメラの電源を切るとフォーカスが無限遠になってしまうのは少々面倒と感じている(情報パネルを見ながらフォーカスリングを回す必要がある)。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sで撮影した実写作例(筆者撮影)
上記写真は焦点距離14mmで撮影した実写作例である(筆者撮影)。14mmの超広角で撮影すると、狭い室内を広く写すことができる。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sで撮影した実写作例(筆者撮影)
上記写真は焦点距離20mmで撮影した実写作例である(筆者撮影)。スポットライトの光源がこちらを向いているがゴーストやフレアは発生せず、逆光の影響を全く感じないくらいクリアに撮影できていることが分かる。
同じ広角レンズでも、PC NIKKOR 19mm f/4E EDで撮影するとスポットライトに盛大な光芒が出ていたがNIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sは光芒がほとんど見られない。
PC NIKKOR 19mm f/4E EDは美しい光芒が好きだったがゴースト、フレアが発生しやすいレンズだった。
今回購入したNIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sは、ゴースト、フレアはほとんど発生せず、光芒もわずかである。筆者は美しい光芒が現れるPC NIKKOR 19mm f/4E EDが好きだったがその点(今回レンズは光芒があまり見られない点)は少々残念である。
(旧製品)AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを直前まで現役利用していたが同レンズは2007年の発売から15年近く経過していることもあり、現代レンズNIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sと比較すると描写性能は雲泥の差である。
(旧製品)AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDは、多少絞りを絞り込んでも特に画面周辺部では描写が甘いと感じることがあったが、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sは画面の隅々までクリアに写る。
ニコンのZマウントの広角ズームレンズには、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sの他に NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sが存在する。いわゆる小三元レンズと呼ばれる開放絞り値がf/4通しのレンズである。
筆者は、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sを購入する際に、最初からf/2.8通しの大三元レンズ(広角ズームレンズ)を購入するつもりだったので、購入までにの他に NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sとの比較は行わなかったがスペック比較などを行ってみると。
NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sは小さい、軽い、そして何よりも金額が安い(f/2.8レンズの半額で入手できる)というメリットがあることが分かった。
筆者は、NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sを所有していないのでスペック比較以上の比較はできない。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sを既に業務利用にも使っているがその描写性能の高さには十分以上に満足している。その他、NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sを購入して良かった点は次の通りである。
Gレンズと比較すると、圧倒的に高い描写性能である。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sは、14mm〜24mmまでのズームレンズのため、14mmで広い範囲を写したり、18〜24mmと広角側へズームすることによりパースペクティブ効果を抑えて撮影することもできる。
各焦点距離毎の画角は次の通りだ。
焦点距離 | 水平画角 | 垂直画角 | 対角線画角 |
---|---|---|---|
14mm | 104.3度 | 81.2度 | 114.2度 |
15mm | 100.4度 | 77.3度 | 110.5度 |
16mm | 96.7度 | 73.7度 | 107.0度 |
18mm | 90.0度 | 67.4度 | 100.5度 |
20mm | 84.0度 | 61.9度 | 94.5度 |
21mm | 81.2度 | 59.5度 | 91.7度 |
24mm | 73.7度 | 53.1度 | 84.1度 |
スクールフォト撮影時には、通常の撮影では24-200mmの焦点距離でほとんどの場面を撮影できるので、14-24mmレンズを必要とする機会は少ない。
しかし、生活発表会撮影時に保護者席の最前列中央からステージを撮影する場合など、狭いホールでは24mmレンズでステージ全体を撮影できず、そんなときに14-24mmレンズが役立つ。
NIKKOR Z 14−24mm f/2.8 Sはズーム全域を通じて開放絞りがf/2.8と明るいレンズである。
そのため、薄暗い室内でもシャッター速度を落とし過ぎず、ISO感度を大きく上げることなく環境光だけで撮影を行うことができる。
f/2.8の開放絞りでも十分な描写力があるので星景写真撮影時にも役立つはずだ(なお、筆者は星景写真撮影は行わない)。
付属のフィルター用フードを使用することにより、112mm径の市販フィルターを使用することができる。
1世代前のGレンズは出目金レンズでフィルター枠も付いていなかったので、フィルターを使用できなかった。
Gレンズと比較すると、重さが320gも軽くなった。機材の重さが軽くなることにより身体への負担が少なくなった。
フォーカスブリージングが抑えられており、コントロールリングに絞り値やISO感度などを割り当てられるなど、動画撮影と相性が良くなった。と言われているが、筆者は本レンズを動画撮影に使う予定は無く、そのメリットはまだ実感できていない。
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