Nikon Z9、ファームウェア Ver2.00の進化についてわかりやすく解説

2022/4/20更新

Nikon Z9、ファームウェア Ver2.00の進化が凄い

Nikon Z9のファームウェアVer.2.00
Nikon Z9、ファームウェア2.00へのアップデートで進化が半端ない

Nikon Z9のファームウェアアップデート方法の詳細は次のページで確認できる。 
Nikon Z9、ファームウェア アップデート方法

本ページでは、Nikon Z9のファームウェアを2.00にアップデートすると何が変わるかについてわかりやすく説明する。

Nikon Z9、ファームウェア Ver 2.0へのアップデートで大幅進化した

Nikon Z9、ファームウェア C:Ver.1.11 ⇒ C:Ver.2.00 への変更内容は次の通りだ(2022/4/20)。

■静止画撮影機能の改善内容

  • プリキャプチャ機能
  • C120、C30モードにおいて、シャッターを押した直前の写真を最大1秒まで遡って撮影できるプリキャプチャ機能を搭載。バッターのバットにボールが当たる瞬間やテニスプレイヤーのサーブの瞬間にボールラケットに当たる瞬間など、を容易に撮影できるようになる。プリ記録時間は、0.3秒、0.5秒、1秒から選択可能。レリーズ後記録時間は1秒、2秒、3秒、MAXから選択可能。
  • カスタムワイドエリア AF
  • ニコンのフラッグシップ一眼レフカメラであるNikon D6はグループエリアAFという機能があり、同等以上の機能がNikon Z9にも登載された。ハードル競技でフォーカスエリアモードをファインダー内上部に横長配置することにより、ハードルでなくハードルを飛び越える人物にフォーカスを合わせられたり、縦位置撮影時に縦長フォーカスエリアモードを使うことによりマラソンを走る選手の特定選手だけにフォーカスを合わせたりするのが容易になる。筆者は、Nikon D6でのスポーツ撮影時にグループエリアAF機能をよく使用していた機能なのでNikon Z9への登載は嬉しい。
  • フォーカスポジションの登録(set)、呼び出し(recall)機能
  • ファインダのフレームレートを120FPS表示(高フレームレート表示)機能
  • ファームウェアVer 1.11までは、Nikon Z9のファインダー表示は60FPSだった(背面液晶は30FPS)。今回のファームウェアアップデートにより、120FPS表示を選択可能になり、素早く動く被写体をタイミング良く撮影できるようになる。
  • 比較動合成機能
  • 連続写真した写真のうち、動いている部分のみを合成する機能。合成画像はJPGのみを生成(RAWは生成されない)。
  • 長時間露光時のライブカウンター表示
  • バルブ撮影、タイム撮影時に、右肩液晶画面に露光時間が秒単位で表示されるようになった(今までは、スマホなどで自分でカウントする必要があった)。
  • サイレントモード時のファインダー内表示を改善
  • 連写撮影時に最初の一コマ目へジャンプする機能
  • フォーカスポイント移動速度をカスタマイズ
  • 遅い、標準、速いを選択できるようになった。
  • AWB機能が改善
  • Ver 1.11までは、ミックス光環境でスナップ撮影時に途中、まれに色温度のおかしい写真になることがあったがそれが改善されていると嬉しい。
  • 手動(プリセット)ホワイトバランス設定機能が改善
  • ファインダー内の1〜2箇所の全体の0.5%程度のエリアのピンポイントの色情報を使って色温度設定できるように。ケルビン設定画面では、A-B、G-M方向の微調整が可能に。
  • 撮影機能呼び出し機能の改善
  • 撮影機能の呼び出しに「ホールド」モードが登載された(Ver 1.11まではファンクションボタンを押し続ける必要があり使い勝手が悪かった)。ただし、複数のファクションボタンに複数の撮影モードを割り当てはできない(撮影機能の呼び出しは1種類のみ設定可能)。
  • モニターモードの改善
  • ファインダー優先機能搭載。
  • ファインダーの明るさ設定範囲が広がった
  • 今までよりも、より暗く設定できるようになった。星景写真撮影、月食写真撮影などでより暗く表示できるようになったのが便利。
  • 各種操作の改善
  • レンズファンクションボタン、コントロールリングへ割り当てられる機能が増えた。コントロールリングとフォーカスリングの機能を入れ替えできるようになった。フォーカス位置の登録、呼び出しができるようになった。
  • ファインダー優先モード
  • シャッターボタンを半押しすれば表示される、背面液晶がメニュー表示、再生モードになっていても、ファインダー内はファインダー表示されるようになる(一眼レフっぽくなった)。
  • 連写撮影した際に最初の1コマを表示できるようになった
  • 今までは、連写撮影した際も各コマを次々再生するしかなかったのが、連写撮影の場合は最初の1コマのみを表示できるようになった(メインダイヤル、コマンドダイヤルを変更できる)。
  • 軽微な不具合を修正
  • フリッカー検出モード時にまれにフリーズしてしまう現象を改善。

■動画画撮影機能の改善内容

  • カメラ内12bit RAW記録可能に
  • 追加費用無しにRAW 内部収録可能(Nikon Z7ii、Z6iiは有償でRAW収録できた⇒しかも外部収録のみだった)。
  • N-RAW内部収録可能に、撮影時のデータサイズは約半分
  • 8.3K 60p、4.1K 120p撮影可能。ファイルの拡張子はNEV。
  • ProRes RAW HQ撮影時のワークフローを改善
  • 12bit 4.1K ProRes RAW HQフッテージを最大60pのカメラ内記録可能に。 ProRes RAW HQを使用すると、一貫したワークフローで複数のカメラや編集プラットフォーム間を簡単に移動可能に。
  • 録画時の表示を改善
  • 画面外周部に赤枠表示、ウェーブフォームモニター表示、情報表示など、新たな表示モードを追加。
  • ISO感度を1/6ステップ単位で微調整可能に
  • 拡張オーバーサンプリングにより、4K/60p撮影時のシャープネスと鮮明度が向上
  • 新しい明るさ情報表示のカスタム設定を使用して、重要な情報をより明確に表示
  • 自動露出機能が改善、顔の露出が安定
  • Fast AF-ON機能を使うことにより、2つのフォーカス速度を切換可能に
  • 撮影した動画から一連の静止画を素早く書き出し可能に
  • 動画録画中の拡大倍率を低倍率(50%)、等倍(100%)、高倍率(200%)に切換できるようになった
  • 自動電源OFF温度を標準、高の切換ができるようになった
  • 「高」に設定するとカメラ表面が高温になるため、三脚などをご利用ください。また、画質が低下する場合があります。

詳細アップデート内容は「Nikon Z9 ファームウェア2.00 ダウンロード (ニコン公式)」で確認できる。

Nikon Z9、ファームウェア Ver 2.00のここが凄い!

今回、Nikon Z9のファームウェアがVer1.11から2.00にアップデートした。

いわゆる、バージョン数字の整数部分がアップするメジャーアップデートである。

そして、今回のNikon Z9のメジャーアップデート内容はファインダー内表示更新速度がそれまでに60FPS(1秒間に60回更新)から(Canon R3などのライバル機と同等の)120FPS(1秒間に120回の表示更新)へ設定可能になったり、それまでできない思われていたカメラ単体でカメラ内RAW動画収録できるようになるなど、通常で考えるとカメラ本体が次世代バージョンNikon Z9iiになったかのような夢のような新機能、新性能が搭載されたのだ。

しかも、バージョンアップ費用はゼロ円である。

過去、Nikon Z6ii、Z7iiでRAW動画撮影する場合は、別途有償アップデートによりRAW収録できる機能を追加できたが、費用は33000円(税別)であり、さらにニコンのサービスセンターへカメラ本体を送る必要があった。

それが、今回Nikon Z9のファームウェアアップデートは完全無料である。しかも、ネットからファームウェアをダウンロードし、自分でアップデートすることができるのだ。

お金は不要、自分でアップデートしてすぐに新機能を使うことができる、夢のようなファームウェアーメジャーアップデートである。

今回のファームウェアアップデートで進化した内容の中から、筆者が凄い!と思った点を解説する。

Nikon Z9、ファインダーのリフレッシュレートが120FPSに

Nikon Z9のファインダーのリフレッシュレード(表示更新速度)は60FPSだった。1秒間に60回表示が更新されるものだった。

60FPSのZ9でも通常のスナップ撮影や人物撮影、風景撮影など一般的な撮影では全く支障なく使うことができたが、Z9ライバルのCanon R3は120FPSであり、その差は2倍であった。

通常撮影であれば、Nikon Z9の60FPSでも問題無く使えたが、ファインダー内を激しく動くスポーツ撮影時には、(一眼レフ 光学ファインダーの)D6と比較すると比較するとやはり遅延が気になることもあり、Canon R3がうらやましいと思うこともあった。

それがなんと、今回まさかのファームウェアアップデートで120FPSのリフレッシュレートに設定できるという。

まさか、EVFのハードウェアを交換することなく、ソフト的なファームウェアアップデートだけで120FPSを実現できるとは、なんと、素晴らしい隠されてた性能を持っていたのだ。凄いぞNikon、凄いぞNikon Z9、と思ったものである。

2022/4/20にファームウェアアップデートを行って最初に試したのが、120FPS表示設定である。

Nikon Z9、ファインダーリフレッシュレートを120FPSに設定する方法

Nikon Z9、ファインダー表示が120FPSに
Nikon Z9、ファインダー表示を120FPSにする方法

Nikon Z9の「カスタムメニュー」に新たに追加された項目「d20.ファインダーの高フレームレート表示」を「ON」にすると、ファインダーのリフレッシュレートが120FPSになる。

高フレームレート表示設定にしても、ファインダー内解像度は荒くならず高精細なまま、さらに明るさも変わりないようだ。

120FPS設定にしてファインダーを覗いてみたが、もうこれは(光学ファインダーの)一眼レフ並みである。

ファインダーを覗きながらカメラを左右に振ってみたが全く違和感無く追従する。

120FPS設定にすることにより、スポーツ撮影時など被写体がランダムに動く場合も今まで以上に、圧倒的に撮影しやすくなるはずである。

Nikon Z9、ファインダーリフレッシュレートを120FPSにした場合のバッテリーの持ち

一点心配なのは、バッテリーの持ちがどうなるかという点であるが、60FPS表示のZ9でも筆者の撮影分野ではバッテリー1本で3000〜5000枚程度撮影できたので、多少バッテリーの持ちが悪くなったとしても全く問題無い。

(2022/4/22追記)Nikon Z9のファームウェアをVer.2.0にバージョンアップした後に合計6349枚を撮影した。ファインダーは120FPS表示に設定して電池の持ちを確かめたが心配無用だった。下記の通り、電池は十分に良いことが分かった。

撮影枚数電池の残容量100%換算、
撮影可能枚数
備考
4138枚31%5997枚120FPS表示、スナップ撮影。RAWのみ保存。
2211枚66%6502枚120FPS表示、スナップ撮影。RAWのみ保存。
2956枚61%7579枚120FPS表示、ミニ運動会撮影。RAWのみ保存。
4991枚47%9416枚120FPS表示、スナップ撮影。連写多用。RAWのみ保存。

Nikon Z9、120FPS表示になりNikon D6を超えた

120FPS表示ファインダーのNikon Z9は、正に無敵のミラーレスカメラである。

フラッグシップ一眼レフのNikon D6とファームウェアVer 2.0のNikon Z9を比較するとAF速度とAF正確さの僅かな違いはあるが、ミラーレスカメラ(Nikon Z9)の使い勝手を考慮すると完全にNikon D6を超えたと思う。

今回のファームウェアVer.2.0の更新内容を見て、できることならNikon Z9をもう1台(サブ機として)欲しいと思った。

Nikon Z9、カスタムワイドエリアAFが便利

Nikon Z9 ワイドエリアAFのエリア
Nikon Z9のワイドエリアAFのエリア設定(静止画撮影時)
Nikon D6 グループエリアAFのエリア
Nikon D6のグループエリアAFのエリア設定

Nikon Z9のAFエリアモードに、新たに[ワイドエリア AF(C1)]、[ワイドエリア AF(C2)]が追加された。

この機能は、フラッグシップ一眼レフのNikon D6に登載されていたグループエリアAFと同等の機能である。

Nikon Z9ににはワイドエリア AF(S)、ワイドエリア AF(L)という2種類のワイドエリアAFが登載されていたが今回追加されたワイドエリア AF(C1)、ワイドエリア AF(C2)は2種類のカスタムサイズのAF枠を設定できる機能である(C1、C2の「C」はCUSTOM(カスタム)の「C」である)。

ワイドエリア AF(S)はシングルポイントAFよりも少し大きい正方形のエリアAF、ワイドエリア AF(L)はさらに大きい長方形のエリアAFであるが、今回新たに追加されたワイドエリア AF(C1)、ワイドエリア AF(C2)はワイドエリアの形や大きさを自由に(〜20種類から選択)設定できる機能である。

フラッグシップ一眼レフのNikon D6に登載されているグループエリアAF(今回のZ9と同じようにカスタマイズできるAF枠)は、スポーツ撮影時に便利な機能だ。

例えば、小中高生、保育園・幼稚園児の運動会撮影を行う際に徒競走やリレーを撮影する際には目一杯横長のグループエリアAF枠を作り直線方向手間に向かってくる複数人物の一番手前を走る人物にフォーカスを合わせることができた。また、コーナーを回る複数人物を撮影する際も横長AF枠に含まれる人物のうち一番カメラに近い人物にフォーカスを合わせることができる。3D-トラッキングAFと異なり手前の人物に自動的にフォーカスを合わせることができたので構図を変えずに流し撮りしながら最適なフォーカスで撮影することができる。

今回Z9に登載されたワイドエリアAF(C1)、ワイドエリアAF(C2)の設定範囲を確認した所、Nikon D6とほぼ同等のAF枠の形を再現できることを確認した。さらに、Nikon D6よりも優れているのは、そのカスタマイズした枠を画面の隅々まで移動できることである。

Nikon Z9 vs Nikon D6 フォーカスエリアを比較

Nikon Z9 vs Nikon D6のフォーカスエリアを比較
Nikon Z9 vs Nikon D6のフォーカスエリアを比較(白がZ9のフォーカスエリア、赤がD6のフォーカスエリア)(筆者撮影)

Nikon Z9 vs Nikon D6のフォーカスエリアを比較は上記の通りである。一眼レフであるNikon D6は画面の中央部分(横方向はファインダー全体の1/2程度、縦方向はファインダー全体の1/3程度)のみフォーカスポイントを設定できる。

Nikon Z9のワイドエリアAF(C1、C2)の形を縦3×横幅いっぱい、Nikon D6のグループエリアAFの形を縦3×横幅いっぱいに設定した場合の各エリアの大きさを比較すると次の通りである。

Nikon Z9 vs Nikon D6のグループエリアを比較
Nikon Z9 vs Nikon D6のカスタムエリアを比較(白がZ9のワイドエリア(C1、C2)、赤がD6のグループエリアAFエリア)(筆者撮影)

Nikon D6のはフォーカスエリアの範囲が狭いので、上記赤枠を左右に動かすことができないが、Nikon Z9はフォーカスエリアの範囲が画面のほぼ全域まで移動できるのでワイドエリアAF(C1、C2)の枠と上記位置から、画面の隅々まで上下左右に移動できる。

ただ、一点残念なことがある。Nikon Z9のワイドエリアAF(C1)、ワイドエリアAF(C2)設定の枠の横幅は、画面の左右幅いっぱいまで横長にできず、Nikon D6のAF枠と同じくらいの幅にしか設定できないことである。リレー競技を撮影中にファインダー内の左端から右端のファインダー外に出るまでの人物にフォーカスを合わせるたために、もう1〜2段、横方向に広げられたらミラーレスのフォーカスエリアの広さを生かしてさらに使い勝手が良くなると思う。

ミラーレスカメラの、一眼レフよりも優れている点は、ファインダー内のほぼ全体の範囲にAFポイントを移動できることであり(一眼レフは、画面の中央範囲しかAF枠を移動できない)、Nikon Z9のワイドエリアAF(C1、C2)の最大横幅が19コマでなく、もっと広い幅の長方形AF枠を設定できるなら徒競走、リレーをもっと撮影しやすくなるだろうと考えていたが、横幅はNikon D6のグループエリアAFと同じ程度のファインダー内の1/2程度の幅までしか設定できないことは残念である(Z9のワイドエリアAF(C1、C2)は、設定した枠を画面のほぼ全体の範囲まで上下左右に動かすことはできる)。

【ヒント】撮影中にワイドエリアAF(C1、C2)の形を変えるには?

(左手で操作する)フォーカスモードボタンを押しながら背面のマルチセレクターの上下左右を押すことによりワイドエリアAF(C1、C2)の形状を変更できる。

なお、(フォーカスモードボタンを押さずに)マルチセレクターの上下左右を押すことによりワイドエリアAF(C1、C2)の位置を上下左右に移動できる。

どちらの操作も、Nikon D6と同じなので、Nikon D6を使用するユーザーならすぐに操作に慣れることだろう。

カスタムワイドエリアAFはこんな時に役立つ

運動会・体育祭でリレーや徒競走などの走る競技でゴール地点から選手を狙い横一列に並ぶ選手全体を撮影する時、カスタムワイドエリアAFの形を19x1や19x2などの横長に設定することにより、ゴールテープの上にある選手のうち一番カメラに近い選手にフォーカスを合わせながら撮影することができる。

3D-トラッキングAFの場合はフォーカスポイントを合わせた被写体を自動追尾で追い続けることができるが、カスタムワイドエリアなら、カメラに向かってくる選手の順位が入れ替わったとしても構図を替えずに自動的に一番手前の選手にAFを合わせ続けることができる。

関連記事: 運動会撮影に最適なレンズとは?NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRで最高の思い出を残そう

Nikon Z9、動画性能が大幅進化した

Nikon Z9のファームウェアがVer2.00にメジャーバージョンアップし、動画性能が大幅進化した。

といっては、筆者はNikon Z9ではほとんど動画を撮影しないのでそれほど影響はないが、これから動画を始めようというユーザーであれば、キヤノンやSONYの動画専用機と比較しても同等以上の性能、機能を大幅に安い金額で手に入れることができるのは大きなメリットだろう。

Nikon Z9でRAW動画を内部収録できるようになった

今回のVer2.00へのファームウェアアップ変わった動画性能の一番大きな進化点は次の通りである。

  • カメラ内12bit RAW記録可能に
  • 追加費用無しにRAW 内部収録可能(Nikon Z7ii、Z6iiは有償でRAW収録できた⇒しかも外部収録のみだった)。

動画撮影時に、特別な(外部)機器を使わずにNikon Z9単体で12bit RAW(内部)記録できるようになったで撮影後の露出補正やカラーグレーディングを行っても映像の破綻を防ぐことができるようになる。

ブリージングが少なく、解像度や静寂性能も高く、(CANONなどの他メーカーと比較して)価格的にリーズナブルなNikon Zマウントレンズを使えることも大きな魅力である。

なぜ、Nikon Z9の動画性能が他社のスチール機よりも優れているのか

なぜ、NikonはスチールカメラであるNikon Z9の動画性能をこれほどまで高めることができるのだろうか。

その理由の1つに、Nikonは動画専用機を作っていない、ということがあげられる。

CanonはシネマEOS、SONYは動画専用機をスチールカメラとは別ラインでラインナップしている。

CanonやSONYも技術的にはNikon Z9と同等以上の動画機能をスチールカメラに登載することは可能であろうが、マーケティング的に社内の別部門の(動画部門)が製造販売する動画専用機との競合を避けるために、動画性能を極限まで高めるのは難しいのだろう。

スチールカメラマンに高性能な動画性能は必要か?

少なくとも、筆者には、動画機能はほとんど必要無い。

2022/4/20現在、筆者所有のNikon Z9の総ショット回数は約11万7000ショットであるがその中で動画撮影したのはたったの1ショット(15秒程度)のみである。水上お花見茶会のイベント(スチール)撮影を行った際に、あまりに桜が綺麗だったので、4K120p撮影で15秒だけ撮影した映像を30pに(4倍スローモーションに)して約1分の映像を写真と一緒にお客様に納品したところかなり喜ばれたのは確かである。

しかし、カメラマン一人でスチール撮影を行いながら同時に動画も撮影するのはかなり難しい。

撮影現場で動画撮影チームが入ることも多くあるが、ほぼ100%の現場では「チームで動画撮影」を行っている。複数のカメラを使い、複数のカメラマンが撮影を行うという流れだ。

筆者のように一人カメラマンがスチール撮影を行う場合に、ついでに動画も撮影できる?と聞かれることはまれにあるが、三脚に動画機器を設置して、固定で記録映像を撮るだけ、納品もほぼ編集なく、記録動画を納品するだけだったりする。

スチールカメラマンが同じカメラで動画を撮影したり編集して納品したりするのは、現状では難しいのではないかと考えている。

ただし、時代は、静止画よりも動画へ向かっており、これからカメラマンになりたい方や、または趣味で写真撮影を行う方にとっては、同じカメラ(Nikon Z9)に超高性能な動画性能が登載されているのは大きな魅力だろう。

でも、動画性能を落としてもよいから、さらにスチール撮影性能を追求して、そして、少しリーズナブルな価格でNikon Z8が発売されたら嬉しいな。欲しい。

Nikon Z9で8K動画をRAW撮影する際の注意点

Nikon Z9のファームウェアVer.2.0でRAW動画の内部収録できるようになったとはいえ、動画を撮影し、編集するのはかなりハードルが高い。

CFexpressカード
CFexpressカード(左の2枚がProgrdade CFexpress 650GB COBALT)(筆者撮影)

  • 高性能、大容量のCFexpressカードが必要になる
  • 8KRAW動画は巨大なサイズなので、650GBのCFexpressカードにたったの17分しか記録できない。8K RAW動画を撮影するためには連続高速書き込みが可能なCFexpressカードを使う必要がある、2022年4月現在、その条件を満たすのはPrograde COBALT 650GB or 325GBのCFexpressカードである。
  • 高性能、PCが必要になる
  • 大容量の動画データを編集、書き出しするために高性能なPCが必要になる。650GBのデータで17分しか記録できないので、PC上の記録媒体も大容量が求められる。
  • N-RAWデータを編集できるソフトウェアが必要になる
  • 2022/4/20現在、N-RAWで記録した動画データを編集できるソフトは、EDIUSとDaVinci Resolveだけである。広く一般的に動画編集ソフトとして使われているAdobe Premiere Proや、Apple Final Cutでは、現時点ではN-RAW動画データを編集することができない。RAW記録する際に、Apple ProRes RAW記録を行うことによりAdobeやAppleの動画編集ソフトでも動画編集可能である。これだけNikon Z9が売れているのだから、将来Adobe Premiere ProがN-RAWに対応する可能性は十分あると思う。
  • ProRes RAW動画撮影する際は60pまでしか記録できない
  • 4K 120p記録したいなら N-RAWまたは、H.265 10-bit(MOV)などの形式で動画を記録する必要がある。

Nikon Z9を使って動画撮影する際は上記に気をつけながら撮影を行う必要がある。

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2021/8/19 EN-EL18d Nikon Z9バッテリー レビュー
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2021/6/29 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S、開梱レビュー
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